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2018.05.11

~経験ゼロでもしっかり書ける~
社内報編集担当者のためのライティング講座 【後編】

社内報編集担当者のためのライティング講座 【後編】

[はじめに]
日ごとに鮮やかさを増す樹々と、25°オーバーの気温。もう初夏なのでしょうか(ごくり…)。こんにちは、ライターのkumaです。

こちらの連載では、前・後編の2回に分けて、社内報のライティングを行う際のヒントとなる情報をまとめています。前編では、原稿作成の“下準備”として、情報ソースのテキストを要素ごとに整理するプロセスをご覧いただきました。

「ライティング」とは、この整理した要素群(Input)を、プロットに沿って再構築し、原稿(Output)にしていく作業です。前回、ライティングのカギを握るのは「表現力や語彙力ではなくプロセスである」と言ったのはこのためで、Inputの整理が不十分だと、Outputもそれなりの仕上がりにしかなりません。(ここでの“それなり”とは、取材や資料から入手した情報を十分に活かしきれていない原稿を指します。)逆にいえば、よく精査されたInputとプロットがあれば、Outputには、入手した情報のエッセンスを余すところなく盛り込むことが可能になります。つまり、「ライティングにおける勝負の半分以上は“下準備”で決している」というのが私の持論です。(前編を未読の方は、ぜひご一読ください!)
取材を受けてくれた人物や、資料の作成者、そして読み手に対し、書き手として最大限誠実であろうとすること――。地道にInputを準備し、それをOutputへと転化させるうえで必要なのは、そういった気概であると思います。それでは、目次の紹介に続き後編スタートです。

■Step4:変幻自在の「語り部」になろう 

導入部分で、ライティングとは「整理した要素群(Input)を、プロットに沿って再構築し、原稿(Output)にしていく作業」であると定義しました。おそらく、ライティング経験のある方ほど、Input→Outputの過程で、ご自身が一体どのような手順を踏んでいるのかを、ほとんど意識したことがないはずです。一方で、未経験の方にとっては、InとOutの間にブラックボックスが横たわっているように感じられるのではないでしょうか。Step4では、このブラックボックス中身を“見える化”していきます。

(1)「語り方」を選択する

まず初めに、文章の「話者」(語り手)を明らかにします。
例えば、経営トップや社員へのインタビュー記事であれば、文章の主語は「私」ですね。また、あるプロジェクトのメンバー数人へのグループインタビューなら、主語は「私たち/私」。または、全社のニュースや施策を“会社発信”で伝える記事ならば、主語は「当社」となるはずです。これらはいずれも、語り手と、行為の主体が一致した一人称の文章で書き進めることができます。社内報では、大半の記事が一人称で書かれているはずです。
これに対し、第三者視点で書かれる記事では、主語は自在に入れ替わります。「●●社は―」「営業担当者は―」「若手社員が―」というように、です。少し古い例ですが、NHKの人気TV番組「プロジェクトX」や、最近ならテレビ東京系「ガイアの夜明け」のナレーション風、と言うとイメージしやすいでしょうか。三人称での語りは、特定の人物をフィーチャーすることなく、プロジェクトの活躍を“読み物風”にまとめたい場合などに有効です。

(2) 要素ごとに要約する

話者の立ち位置が明確になったら、いよいよ原稿を書き進めていきます。ここで大切なのは、「プロットに沿って、整理した要素ごとに」文章化していく、ということです。
プロジェクト紹介の記事を例にすると、前編でも言及した通り、大枠としては「立ち上がり→推進中のエピソード→成果→今後の展望」という流れが一般的です。これを、Inputとの対応がイメージしやすいよう、もう少し細かく項目出しをすると、次のようになります。

〈プロジェクト紹介記事のプロット例〉
1.立ち上がり
 ・プロジェクト始動の背景/・メンバー構成/・当初の計画 等
2.推進中のエピソード
 ・立ち上げ当初のつまずき/・困難をいかに克服したか/・メンバーの創意工夫 等
3.成果
  ・数値実績/・メンバーのマインド面での変化/・他チームへの波及効果 等
4.今後の展望
 ・次なる目標 等

Inputの整理段階で、上記の「・」の項目それぞれに対応する要素群が出そろっているはずです。各「・」に紐づく要素は、一つしかない(=取材の中で一度しか言及されなかった、一種類の資料で一度しか記載されていなかった)場合もあれば、複数存在する場合もあるでしょう。いずれにしても、「・」の単位で、次の手順をふんでいきます。

①文脈の骨子を取り出す

まずは、その項目において伝えるべき骨子を明確にします。第三者に、「つまりはこういうことです」と、語り聞かせる、あるいは箇条書きのメモを提示する場面をイメージすると良いかもしれません。ポイントは、なるべく冗長さを排し、端的に伝えるうえで本当に必要な情報を見極めることです。

②表現を選択・言い換える

伝えるべき内容の骨子がはっきりとしたら、初めに決めた「話者」としての視点で、ニュアンスや情報の細部を肉付けしながら語り(ライティング)ます。Step4の見出しを[変幻自在な「語り部」になろう]としたのはこのためです。ニュアンスについては、複数の要素で異なる単語や言い回しが用いられている場合は、より魅力的な方を選択します。“魅力的”というのは、伝えたいことの本質をより言い当てていたり、話者の人柄や思いがより色濃く反映されていたりするもの、と解釈していただければと思います。なお、Input情報の表現は、場合により、適宜“チューニング”する必要があります。留意すべきポイントには、次のようなものがあります。

 a. 口語や擬音は文語表現に
  ・「すごい新しい」→「すごく(非常に)新しい」
  ・「~だなって思います」→「~だとお思います」
  ・「~したんですけど」→「~したのですが」
  ・「残業がガーンと伸びて」→「残業が大幅に伸びて」

 b. オフィシャルな媒体に適さない表現は言い換え
 (表現があまりに幼い、誹謗中傷と取られかねない、等)
  ・「議論の中でケンカが起きて…」→「議論がヒートアップして…」
  ・「競合もすぐにうちを真似して…」→「競合もすぐに類似の商品を…」

ある程度、砕けた表現が許容されるか否かは、それぞれのコーナーや冊子全体の「トーンマナー」次第なので、過去号を参考に適切なラインを見極めると良いでしょう。

(3) 要素どうしをつなぐ

要素ごとに文章化することができたら、全体としてスムーズな論理展開になるよう、各要素どうしを適切な形で接続します。例えば、一つ前の要素で述べた事例の詳細説明を担う要素なら、書き出しは「つまり」などが妥当でしょう。あるいは、ある側面に言及した後でその反対側に言及するならば、「一方で」という書き出しが考えられます。このように、相互に関連し合う要素間には、接続詞を入れることでずいぶん読みやすくなります。
また、文脈が大きく切れる場面ならば、改行を入れて段落を分けるようにしましょう。簡単なことですが、論旨が整理された読みやすい文章を作成するうえで、非常に効果的なポイントです。

■Step5:原稿をブラッシュアップしよう 

一通り書きあがったら、できれば少し時間を置き、クールダウンした状態で原稿を読み返しましょう。意味の通りにくいところはないか、冗長すぎるところはないかなど、第三者が読んだ時に、意図した通りに内容が伝わるかを冷静に点検することが大切です。少しでも「あやしいな」と感じるところがあれば、潔く手直しします。
確認の際は、いわゆる「5W1H」を意識しながら素読みするといいでしょう。予備知識の無い人がその文章を読んだ時に、「だれが?」「いつ?」「なんのために?」「なにを?」「どうやって?」…というような“ツッコミ”が入らないようにすることが大切です。意外とありがちなのが、主語(だれが)の抜けです。同じ主語が続く場合は、冗長さを避けるために二文目以降で主語の記述を割愛する場合もありますが、登場人物が複数いる場合は、主体がどちらなのかが不明瞭になりがちなため、注意が必要です。また、年月情報(いつ・いつから)も要注意です。年月の経過や、ある事柄の期間について言及しているのに、始点となるのが何年何月なのかが分からない…というのは惜しすぎるミスです。類似のケースで、数字や人数の推移を記述しているのに、比較対象となる値や、それがいつの実績値であるのかといった基礎情報を書き漏らしてしまう、というのもありがちです。
さて、ここから先は、より読みやすく、“こなれた”原稿に仕上げるためのプラスアルファの工夫です。

①文末表現に変化を

a.現在形がベースの文章は、「です」「ます」を織り交ぜる
「新たな編集チームの発足をご報告します。7人のメンバーが、これから1年間、社内報を作っていきます。あわせて、デザインの刷新も予定しています。」
 ↓
「新たな編集チームの発足をご報告します。7人のメンバーが、これから1年間、社内報を作っていきます。あわせて、デザインの刷新も行う予定です。」

b.過去形がベースの文章には、あえて現在(進行)形を挟む
「2018年3月、現在の編集チーム発足以後、初めての社内報が発行されました。今回から、デザインを一新し、新企画も複数始動しました。また、多くの皆さんに取材・撮影のご協力をいただきました。」

「2018年3月、現在の編集チーム発足以後、初めての社内報が発行されました。今回から、デザインを一新し、新企画も複数始動しています。また、多くの皆さんに取材・撮影のご協力をいただきました。」

c.上記以外の方法で緩急をつけたい場合は、体現止めを使用する
「通算100号となる社内報を無事に発行することができました。当社社内報の発行は、今から25年前に遡ります。以来、年4回ペースでの発行を続けて今日に至ります。」

「通算100号となる社内報を無事に発行することができました。当社社内報の発行は、今から25年前の1993年。以来、年4回ペースでの発行を続けて今日に至ります。」

②熟語や言い回しの重複は回避

a.同じ熟語が連続する場合は類似表現に置き換え
「今期は、業務の効率化に資する生産性向上のための施策を推進していきます。併せて、熟練技術者のノウハウを継承するため、若手を対象とした研修制度の見直しも推進します。」
 ↓
「今期は、業務の効率化に資する生産性向上のための施策を推進していきます。併せて、熟練技術者のノウハウを継承するため、若手を対象とした研修制度の見直しを図ります。」

b.言い回しの重複にも配慮
「今後は、既存顧客だけでなく、新規顧客獲得につながるような営業活動に注力したいと考えています。また、春からは後輩ができるので、恥ずかしくない背中を見せられるよう、2年目らしい言動を意識していきたいと考えています。」
 ↓
「今後は、既存顧客だけでなく、新規顧客獲得につながるような営業活動に注力したいと考えています。また、春からは後輩ができるので、恥ずかしくない背中を見せられるよう、2年目らしい言動を心がけていきます。」

③長文は無理せず二文に

一文が二行以上にわたる長文になった時に気をつけたいのが、文章の“ねじれ”です。チェックの際には、次のポイントを意識すると良いでしょう。

・主語と述語だけを取り出して読んでみた時に、不対応になっていないか。
・複数の要素(A、B、C)を並列に扱い、一つの動詞で受けようとしている場合に、各要素が動詞と対応できているか。

■Step6:文字数を調整しよう

ここまでくればもう、「ようやくできた!!」と諸手を挙げて叫びたいところですが…最後にもう1Stepだけ。文字数の調整です。経験上、原稿が一通り書きあがった時点で、所定の文字数ピッタリ!…ということはまずあり得ません。大抵は、オーバー(それも大幅に…)しています。生みの苦しみを経験した分、「このまま載せたい」と思うのが人情。しかしながら、デザイナーは、文字とスペース、あるいは写真との適切なバランスを考慮してページをデザインしています。つまり、紙面としての読みやすさ、美しさを損なわないようにするためには、やはり所定の文字数におさめなければなりません。フォントサイズを下げたり、入れるはずだった写真の扱いを変更したり、といった“力技”は最後の緊急手段、くらいの認識でいた方がよいでしょう。

また少々脇道にそれますが、悩ましいのが、人に依頼して書いてもらった原稿の文字数がオーバーしていた場合です。こういった事態を避けるために有効なのが、Excelで記入シートを作成して、該当のセルに入力規則で文字数制限をかけてしまう方法です。とくに、複数人に原稿を依頼する場合は、後から集約する作業をなるべく効率化するために、「そもそもオーバーさせない」ことが重要になります。とはいえ、そもそも表計算ソフトであるExcelは、長文入力するうえであまり使い勝手がよくないのも事実。ケースバイケース(依頼するメンバー、人数、スケジュール、文字量…etc.)ではありますが、Wordで作成した記入シートに、「編集上の観点から文章を変更する可能性があります」と注記を入れておき、編集権限で断りなく手を入れられるようにしておく、というのが、書き手と編集サイド双方にとって現実的に一番“やりやすい方法”ではないかと私自身は思っています。

前置きが長くなりました。具体的な文字数調整のテクニックについては、SHAHOOのこちらのエントリで非常に明快に解説されています。ぜひご覧ください!

「文字量を減らす」テキスト修正のコツ

前・後編2回に分けてお送りしたライティング講座、いかがでしたでしょうか。Input→Outputの過程を言葉にするのは、私自身にとっても初めての試みでした。(“見える化”しようともがきながら、ブラックボックスの中で、あちこち体をぶつけた気がします…。)
皆さまの明日からのライティングにとって、何か一つでも役立つ事柄をお伝えできていれば幸いです。

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