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2017.06.30

実録!ER戦略ノート
ERって難しい?

ERって難しい?

みなさま、こんにちは。早くも2回目となりました。
私の自己紹介については 前回のこちらの記事をご確認ください。


今回より本題のER戦略なるものについて考えていきたいと思います。
ERとはどのような仕事で、簡単に誰にでもできる職務なのか?ER担当者になって戦略的アプローチを考えるためにまず最初に何が必要か?
これらを私の経験をもとにお伝えしていきます。

最初に整理しますが、ここで使うERとは、

・PR(Public Relations:対社会関係)
・MR(Media Relations:対メディア関係)
・IR(Investors Relations:対投資家関係)
・SR(Shareholders Relations:対株主関係)
ER(Employee Relations:対社員関係)

といったステークホルダー別の戦略的なコミュニケーションのうち、「会社と社員、あるいは社員と社員によるコミュニケーション活動全般」を指します。

■職務の難易度

そのうえで、まず考えてみたいこと。
それはERという職務の難易度についてです。

もちろん、職務の難易度を測定するのは、各会社の目標やその設定水準、個人の立場、役割よっても違いがあるため、非常に難しいことです。 逆に、職務の大きさ(=ジョブサイズ)であれば、米系コンサル会社の職務評価システムなどを用いれば、たちまちデジタルに数値化され、他の職務と比較したランキング形式で見ることも可能でしょう。

ただ、ここで考えたいことは、厳密な定義やルールに基づいた定量的なスコアリングの話でもありませんし、ましてや他の職務との比較でもありません。

私個人の経験と感覚として、ERは傍から見ていた時と違って“やりにくいなぁ”“むずかしいなぁ”と思うことが多いです。もちろん、その他の仕事にもこの“Before/After Gap”は必ずありますが、ERは特にその差が大きいと感じます。

もちろん、これに対して明確な回答は見つかりませんが、その理由についてしっかりと考え、向き合ってみることがERを戦略的に進めていくうえでとても大切だと感じますので、 今回はそんな切り口で考えてみたいと思います。

■ジョブサイズ

前述の職務評価システムにおいて、ジョブサイズを決める基本要素には以下3つがあります。当然、これらについて、求められる水準が高いほど、ジョブサイズは大きくなり、それによって職務の価値が測られます。

1. 知識・経験
2. 問題解決
3. 成果責任

こうしたポイントファクター方式におけるジョブサイズの妥当性についての議論は他に譲りますが、これらの基本要素が職務の評価に繋がっていくこと自体に違和感はありません。システムを採用するか否かに関係なく、仕事をするうえで、とても重要な要素だと思うからです。

では、この点からみてERのジョブサイズはどの程度かというと、一般的には、あまり大きくないのではないか、というのが私の率直な見方です。

もし「ERは、専門性が非常に高く、常に問題解決のための応用力が求められ、経営や業績に大きなインパクトを残す職務です」と誰かに言い切られたら、それは正直“盛ってる”ように感じますし、ERはあくまでも本業(=自社の強みを活かして社会へ価値を提供する活動)を支えるための取り組みのひとつであり、本来的に巨大なサイズにはなりえないと考えます。

■難しいワケ

それよりもむしろ、注意したいことは「ジョブサイズが小さい=難易度も低い」と考えてしまいがちだということです。 そして、特にERについては、このような感覚をもっておられる人が社内でも多いのではないかと感じます。正直、私も最初はそんな風に感じていましたし、だからこそGapに驚いたのだと思います。

では、なぜERはそう思われがちなのでしょうか?

まず、誰でも口を挟める分野であるということです。
例えば、ある企業買収案件があり、その投資判断の是非について議論する場面において、何かコメントを求められた場合、事業や経営戦略、ファイナンスや法律などの専門知識や経験がなければ、コメントを返すことはなかなか難しいかと思います。

一方、社内報の新規コンテンツを検討する際に、職場のコミュニケーションを深めるための紙面づくりに関して、何か意見を求められた場合、置かれた状況の範囲内において、何かしらコメントすることはできるでしょう。

それは、これらが自分にとって身近で関係が深い事柄だからであり、「良い/悪い」、「好き/嫌い」「上手い/下手」といったベーシックな感性だけでも、それなりに議論できる分野だからです。つまり、ERが対象とするのは役員を含む全社員ですので、その数だけ、企業文化、組織のあり方、コミュニケーション、職場環境などに対する意見や要望があるわけです。 こうした“無数の感性”を相手に、少しでも多くの「共感」を得ながら進めなければならないのがERですが、より多くの意見を求めようとすると、“感性の洪水”に飲み込まれるリスクも出てきます。これが難易度を上げるひとつの要素です。

また、ERという概念自体、歴史があるものではありません。 本屋さんのビジネス書コーナーに行けば一目瞭然ですが、それこそ経営戦略やファイナンス、法律などと比べても、理論や定説などが圧倒的に少ないです。 それに加えて企業間での情報交換の場も整備されていませんので、担当者としては、“心の拠り所”がないといった環境下にあります。 そもそも仕事に正解はないですが、暗中模索している時に、安心できるツールがあるかないかでは大きな差があります。
これは願望ですが、しっかりとした理論や他社での成功事例など、裏付けされたものがたくさんあれば、自分がやりたい施策について、もっと多くの「納得性」を高められるのになぁといつも思っています。(だからこのSHAHOO!がある!ワケですね^^)

また、ER担当者の社外労働市場における価値もまだ高くはありません。 もちろん、これは個人の能力やパフォーマンスによって異なりますので、一概にはいえませんが、主な理由としては、ERが社内完結型の職務であり、汎用性があるとは思われていないためです。

いくら広範深遠な社内人脈を持ち、企画・調整・意思疎通・実行の面で優れたERのスペシャリストであっても社内労働市場での価値ほど社外での価値は上がらず、転職する際の武器にはなりにくいというのも事実かと思います。こうした内外の評価は、担当者のモチベーションとパフォーマンスにも関係してくるという点で、この職務の難しさを増長していると思います。

他にも要因はありますが、これらが絡み合うことで職務としての難易度を上げているのだと考えています。

■戦略的アプローチへの第一歩

かなり自虐しますが、「理論や事例による裏付けが乏しいまま、社員の無数の感性に対し、共感と納得性を得ながら推進していかなければならないだけでなく、その過程や結果について内外から高い評価を得られにくい職務」がERです。

少なくとも私はそう考えています。

その反対に、私は大勢の人の感性に触れ、共感や納得性を得ながら進められている時の充実感こそがこの職務の醍醐味だと思っていますし、この職務を通じて得られる経験や思考プロセスは他の職務にも応用できるものと考えています。(このあたりは次回以降で)

こうした点からも、ER担当者は「共感」と「納得性」をいかに効率的かつ効果的に高めることをいつも真剣に考えなくてはなりません。
同時に、「事実」を積み上げつつ、より「ロジカル」な思考で推進すること、そして個々の施策がひとつの「軸」によって全て繋がった「仕組み」を作る必要があります。

そして、ここが一番難しくて重要なのですが、これらを絵に描いた餅にしないよう「情熱」を注がないといけないと思っています。私自身こうした経験を何度もしてきましたが、どんなにロジカルに完成度の高い仕組みを作ったつもりでも、それだけでは人は動いてくれませんし、そもそも正解のない道を進んでいくわけですので、熱い想いがなければ自分自身も迷ってしまいます。また、評価を得られにくい仕事を地道に継続していくためにも、この「情熱」は原動力になります。



これまで述べたように、ERという仕事は難しい。
しかし、その難しさを乗り越え、ERを推進するうえでの基本的な姿勢は、「より多くの社員に共感と納得性を与えるために、社内の誰よりも深く、熱くERについて考え、冷静かつ論理的に進めていくこと」です。そして、これをベースに自社に見合った戦略を立案すべきだと考えます。これこそが戦略的アプローチへの第一歩です。

今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回以降は、具体的なER戦略の全体像などにも触れていきたいと思います。

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